垣根涼介「信長の原理」を読んで

今般の第160回直木賞候補の一つである題記の本を読んだ。織田信長の生涯を秀吉や光秀など多くの家来の立場から見た姿が描かれ、史実を羅列した歴史書とは違った面白みのある内容だった。著者は信長の信念としての原理に「パレートの法則」でもある蟻の生態を持ち出している。10匹の働き蟻がいれば、2匹が真面目に働き、6匹は優柔不断の日和見で、残り2匹はサボると言う法則が人間にも当てはまることを原理として信長が家臣を差配していく様が全編にわたっている。信ぴょう性はともかく、こうした人の心理をベースに戦国の歴史を描いた小説は新鮮味があった。今まで捉えていた史実の中身で違和感を覚えた幾つかとして、

  • 桶狭間の戦いは万に一つの勝ちもない無謀な賭けとしか思っていなかったが、信長自身は馬廻り衆の精鋭を育成していて、戦略を持ってすれば望みあり、と決して悲観していなかったようだ
  • 明智光秀の謀反後の山崎の戦いで明智1万6千に対して秀吉4万の勢力では圧倒的に秀吉の勝ちと思っていたが、軍の質からすれば織田家来衆の中で最強が明智軍で最も弱かったのは秀吉軍とのことで、勝敗は微妙だった気がする

幾多の戦国史書がある中、在書で全ては語り尽くされないことを本書で思い知らされた感がする。

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