原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」を読んで

先般の直木賞候補の一つである掲題の本を読んだ。著者の原田マハの作品を読むのは自己の読書録を調べると、今回で8冊目だった。原田マハの得意とするアート小説で、史実に基づくフィクションだ。洋画を収集した日本初の美術館である「国立西洋美術館」の誕生にまつわる秘話がこの小説の題材となっている。以前から松方コレクションの名だけは知っていたが、実際にはどんな性格のものでどのように誕生したのか、本書を通じてよく分かった。それにしても関係者が大変な努力をして、今日に至った様子が計り知れた。本のディテールは創作部分も多いことと思うが、フランスから「寄贈返還」されたタブロー(絵画)に含まれなかった20数点の松方コレクションの作品とはどんなものなのか小説には網羅されておらず、その詳細が気になった。その史実としての部分を調べるのにかなり時間を要しそうだが、折を見てチェックしたいと思っている。

安曇野の風 について

安曇野に巣くう極楽トンボ
カテゴリー: 読書 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。