内館牧子「すぐ死ぬんだから」を読んで

面白い本を読んだ。あとがきに「本書は八十歳を間近にした女性主人公をめぐる、外見に関する物語である」とあった。主人公は78歳設定で、デヴィ夫人も丁度今現在78歳と、当初は彼女を連想しながら読んだ。確かに外見を廻る物語で、文中から拾うと、「『人間は中身よ』と言う人はいる。その言葉が好きな人は、たいていは中身がない。それを自覚し、外側から変えることだ。外が変わると中も変わってくる」とあり、何とも軽快なタッチだ。スーパーおばあちゃんの毒舌や奇怪な行動はエスカレートし、夫と死別した後の騒動で死後離婚すると豪語するに至っては霹靂としたが、最後にはうまく纏まり、ある種の共感を覚えた。一刀両断で突き進む物語が途中から意外な展開で、最後にはとても考えさせられる内容だった。

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