筒井康隆「旅のラルゴ」を読んで

20150304筒井康隆のプロフィールは小説家、劇作家、俳優と多岐に渡る。顔を見ればあの人か、と私を含め多くの人は気付くだろう。彼の作品を今まで読んだことがなく、今回初めて幾多の作品の中から1986年作の題記の本を読んだ。現実とは一線を画した世界を旅し、数奇な生涯を送る男を描いている。私ながら思うに「人生は旅なり」「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る(芭蕉)」「そこまでやるか、男のロマン」と力んでしまう。作中に展開する不可思議な世界は奇抜で変化に富み、読み進むのも楽しい。旅に憑かれた男の旅することの闊達な息吹がそこここに溢れ、久方ぶりに快読できた。

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