掲題の本はイギリスの現代作家の自伝で、彼のおよそ80年に渡る生涯が克明に綴られている。彼の小説は今までに読んだことがなく、映画化された「ジャッカルの日」や「戦争の犬たち」を通しておぼろげながらの認識だった。この伝記を読んで、今までの作家にはない凄さを感じた。彼の人生は作家になるべくしてのスタートではなく、波乱に満ちた冒険の連続でまさにその経験がその後の作家生活に生かされていることがよくわかる。当初は陰謀うずめく紛争地で生死の淵を彷徨いながらジャーナリストとして経験を積み、その後作家として成功したにもかかわらず、晩年に至るまで死と向かい合わせの冒険に明け暮れていて、その告白めいた内容に一気読みしてしまった。彼の作品の根底は取材で真実を掴んで、それを明らかにするスタイルとなっていて、著作する国際謀略小説が正にドキュメンタリー風に臨場感を醸し出しているのが人気の由縁のように思う。本書を読み終えて急遽、彼の小説が読みたくなり、図書館にあった代表作の一つを本日、借りてみた。同時読みしている他の小説の後にこれを読もうと思っている。
Monthly photo – 2023.9
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