しばらく読書から遠ざかっていたわけではないが、ちょっと込み入った本を複数読んでいて、この読書投稿は久しぶりとなった。題記の本は飛鳥時代の古代史に関するもので、図書館の新刊本の人気図書リストの中で見つけ予約した借りた。歴史書は平清盛の平安時代までは馴染みがあるが、それよりも遡るとなるとなかなか出回る本も少なく読むチャンスが薄らいでいた。でも、聖徳太子や蘇我一族に代表する飛鳥時代の歴史に以前から興味を覚えていて、表題の本を見つけて少なかぬ期待が湧いた。何せ、古代史は大化の改新と壬申の乱くらいしか知識が無く、とても新鮮な感覚で読むことができた。今回の本は天智天皇と天武天皇の時代をめぐる物語で、蘇我宗家の滅亡の実態を筆者の巧みな創作で綴った小説だ。作品は蘇我一族に肩入れしていて、天智や天武天皇の歴史的偉業は棚上げされ両者とも殺戮者の暴君として描かれていて面白かった。壬申の乱は今までの記憶と違った敗者側の見方が色濃く出ていたり、大化の改新は歴史的な政治改革の裏で実際は陰謀や策謀がうごめいた暗い史実が浮き彫りにされたようでこんな古代史があるのか、と妙に納得した感がした。もしタイムマシンで覗くことができるのなら、関ヶ原の戦いよりもこの飛鳥時代の政変を是非見たいと思っている。
Monthly photo – 2023.9
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