京言葉の口語で綴られた掲題の本を読んだ。最初から最後まで、過去の思い出話を読者に向かって語り続けるスタイルはひょっとして、初めて出会った本かも知れない。しかも、特徴ある京言葉で..。実在の人物をモデルにしたフィクションのようだが、まるで本当にあったような物語で面白かった。それにしても作者は山梨県生まれなのに、よくも京言葉を徹頭徹尾、使いこなしていたことにも驚いた。面白かった京言葉について、ちょっと蛇足で、
京言葉と言えば、語尾が"す"となるものが多い
「おこしやす」「うれしおす」「おおきにどす」
最後の"どす"などはしつこく、「そうどすえ」
となったりも..。標準語の"です・ます"はほとんど使われず、出てくるとしても、「くれはりますわ」などとなるのも面白い。