図書館の書棚にはなく、予約殺到が続いていたこともあって、ずっと敬遠していた本だが、最近になって予約を入れたところ意外と早く入手できた。先週末にかけて読了したが、凄まじい小説だった。分厚い長編だが、のっけから濃厚なストーリ展開は手に汗握る場面の連続だ。県警広報官の主人公が追い詰められ、追い詰められながら必死にもがき苦しむ伏線が本編の3/4を占める。読者の中には、どうでもよい伏線が冗長すぎて散漫との評も多いが、そこがこの本の緻密に計算した常軌を逸する凄さだ。仕事のみならず私生活までもがストーリの中軸をなし、息つく暇もなく連動しながら最後の結末に至る凄さ..。流石のベストセラー、お薦めの本だ。
読後の日曜日に知ったのだが、この本を原作にしたNHKの土曜ドラマが5回シリーズで4月18日から始まった。初回の放映は見れなかったので今週末・深夜の再放送を録画する予定だが、どんな仕上がりのTVか大いに楽しみだ。以下は、NHK・HPからの抜粋。
原作者の横山秀夫さんによれば、舞台となるD県の「D」は、「どこでもドア」の頭文字。どこの県の、どこの職場や家庭にでも起こりそうな組織と人間の矛盾と葛藤は、視聴者の皆さんにも深い共感を抱いていただけることでしょう。
緻密な伏線の数々と驚異のどんでん返しは、どこにもなかった新たなミステリーへと昇華します。
5話全てを観終えたころには、歯を食いしばり過ぎて、肩もこっちゃうかもしれません。けれど、胸の中に静かな熱いものが湧きあがっているはずです。