宮部みゆき「悲嘆の門」を読んで

宮部みゆきの最新作を読んだ。推理作家のはずの宮部みゆきが今回も前作の「荒神」にも似た魔物の世界。ご本人のインタビューでは「前半部分は、サイコ・ホラー。後半は自分の心の奥を流れるまっ暗な川をさかのぼってゆく話。ちょっと変わったミステリー、ちょっと変わったホラーとして、ええ!こんな話だったのと、驚いていただけたらうれしいです。」とある。人の渇望のどろどろとしたエゴの中に踏み入って、非現実の世界をスリル感たっぷりに描いている。ファンタジー色もあるが、人の心の闇、絶望、希望、言葉、概念などが渾然と描かれていて、いつもながらぐいぐいと引っ張っていく「宮部みゆきワールド」の筆力が堪能できた。

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