ベートーヴェン、交響曲第6番「田園」

先日、生の演奏会で掲題の曲を聴きました。この曲は中高生の頃、よく聴いた曲で思い入れもあり、この梅雨時にあやかって我が家でCDの聴き比べをしました。今回もあまり手持ちのCDがないのですが、自分なりに好みをランク付けし、感想を記しました。

20150618k★★★★
クレンペラー、フィルハーモニア響
録音:1957年10月
LP時代からの愛聴盤で、思い入れの1枚。伝統のドイツ音楽の響きは骨太で力強く、安定感は抜群。耳タコの如くよく聴いてイメージが固定されてしまったか、セオリー通りの型にはまった音色のようで、今ではイマイチか..。

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★★★
テンシュテット、ロンドン響
録音:1985年9月15, 16, 19日
中庸でオーソドックスな演奏は、田園のテーマにふさわしいのどかで癒しが売りの第1、第2楽章は逸品。反面、途切れない第3〜第5楽章の激しく躍動感のある後半は緻密に計算されたスタンダードな演奏で、もっとハッとする変化が欲しい。

20150618kj★★★★★
カラヤン、ベルリンフィル
録音:1975 – 1977年
1970年代の脂に乗りきった演奏で、ハーモニーの卓越さは華麗の極み。早いテンポが持ち味で、最終楽章はテーマの「嵐の後の喜びと感謝」を超え、日の出の輝きから陽はどんどんと登り活気みなぎる勢いとなって迫り来るようだ。

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★★★★
クリュイタンス、ベルリンフィル
録音:1960年3月2, 3, 9日
クリュイタンスはベルギー生まれのフランス育ち。この田園は芳醇で力強く、繊細さも醸し出す誉れ高き名盤。第4楽章は地鳴りの如く背後から迫る「嵐」がドイツ音楽にフランス風の激しさを加えて、圧巻。

20150618c★★★★★
チェルビダッケ、ミュンヘンフィル
録音:1993年1月25日
演奏時間はカラヤンの38’10″に対し、51’03″の長々たる長さ。最終楽章は極めて遅いテンポで朗々と響き、穏やかでその遅さの説得力に圧倒される。田園よりもむしろ天上の楽園のような心地で、心安まること請け合い。

思い入れの「田園」、各演奏のバラエティさを聴き分けるのも楽しい限りでした。

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ベートーヴェン、交響曲第6番「田園」 への2件のフィードバック

  1. たーぼ のコメント:

    豊富な話題を楽しく読ませていただいています。毎日のブログ更新に頭が下がります。

    30年ほど前だったか、NHKのFMで「一番好きなクラシック」のアンケート特集があった時、第一位になったのがこの「田園」でした。今なら多分違う結果になるでしょうが(何が一位でしょうか?)、「安らぎを求める人がいかに多いかということでは」との解説に深く頷いたことを覚えています。
    私が好きなのはクリュイタンス盤で、第5楽章の主題がバランス良く崇高に響き渡るところが気に入っています。まさに、嵐の後の感謝、ヨーロッパの田園風景が目に浮かびますよね。
    今度チェルビダッチ盤も聴いてみたいと思います。

    • 安曇野の風 のコメント:

      コメント、ありがとうございます。昨日のコンサートの主催者は冒頭の挨拶で、「人気の3大交響曲、『運命』『未完成』『新世界』のひとつを紹介します」と聞いた時、これは半世紀前の話だと直感しました。が、ネットでのランキングを見たところ、これらはまだまだ健在のようです。今に残る冠たる名曲は不滅の遺産で、その時々の視点でランクも上がり下がりするのでしょうね。冠たる名指揮者の人気はどうでしょうか。カラヤンは人気絶頂の時から今や、評価もだいぶ下がったと言われているようです。私はかつてはアンチ・カラヤンだったのですが、逆に今や好んで聴くようになりました。ワルター然り、大アナログ時代を勝る現代録音がなかなか出てこないのもクラシックの所以なのでしょう。クリュイタンスもパリ管との名演が多く、ビゼーなどはいいですね。この先も時として拙い音楽談義を続けるつもりですが、よろしくご笑覧ください。

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