ローカル色豊かな題記の本をいつもの図書館で借りて読んだ。長野にゆかりのある文学者の信州にちなんだ作品をちりばめた本で、解説付の信州文学ダイジェスト版が如き雰囲気だった。島崎藤村ほか20余名の名だたる文化人の作品断片を6テーマ、「風景」「食」「山」「花と草木」「暮らし」「街道」別に編纂した総花的な内容だった。監修者より「信州の風土や文化を念頭に読者が信州の魅力や自然の厳しさを感じるように編纂した」とのあとがきがあり、今風ではなく明治・大正・昭和を色濃く感ずる信州の伝統なる趣となっている。中でブログ人が魅されたものは深田久弥の雨飾山紹介で、戦前戦後の苦節16年、3回目の登山でようやっと登頂できたことに感慨を覚えた。同作家の名著「日本百名山」で信州には29峰の百名山と、日本の3000m級の山23座のうち15座がこれまた信州にあるが、いずれの高峰も整備され登頂できるようになるまでの歴史を感じた。八方美人的な本だが、どうも読者の好みで印象エリアがだいぶ異なる気がする。
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年明けの映画公開でも話題になった、題記の本を読んだ。戦時中の中産階級の生活が著者の細かい描写で綴られ、ノンフィクションの如く当時の世相が蘇って、ここ数日は戦時下にタイムスリップした心地だった。女中を勤め上げた老人の単なる回顧録にとどまらず、最終章は主人公が入れ替わり、推理小説のミステリーが如く謎解きと予想外のエンディングに魅了された。女性作家ならではの心くばりや心理描写にすっかりハマり、類似の作品を読んでみようか、など思っている。







