深田志げ子「私の小谷温泉 – 深田久弥とともに」を読んで

このところ「読書」投稿から遠ざかっていて、先月から未投稿でした。師走の気ぜわさがあってじっくり読めなかったのと、村上春樹が薦める洋書「The Goldfinch」がスパゲティ小説になるはずが、連日、睡眠薬代わりの枕小説になる体たらくで、読書どころではありませんでした。今年、元同僚の一人からいただいた年賀状に、「今、原書にハマっています」の一言に感化され、ここに来て枕小説を紐解くことにしました。全864ページ中、まだ40数頁に停滞しています。読破には長引きそうなので、その間、柔らかい本も読むことにしました。以下、題記の感想です。

図書館の新刊コーナーに題記の本を見つけ、借りて読んだ。深田久弥が没して半世紀にもなろうとしているのに、まだ奥さんはご存命なのかと思いしや、ご本人も久弥が没した7年後に亡くなっている。今にしての新刊は出版社が企画して、久弥の分身のような存在であった志げ子が書き遺したものをまとめて本にする狙いがあったようだ。私自身、深田久弥の代表作「日本百名山」すら読んでないのだが、深田氏に興味があり、どのような作家生活を送っていたのか、この本を通して知った。久弥は「暮らしは低く、志は高く」のモットーを実践していて、原稿料のその多くは山の本につぎ込んでいたようだ。登ったり、書いたりだけでなく、生活そのものが山に徹していたことを改めて感じた。

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深田志げ子「私の小谷温泉 – 深田久弥とともに」を読んで への2件のフィードバック

  1. highlandjin のコメント:

    深田久弥!懐かしい名前です。朝日文庫でしたか。ずいぶん読みました。八甲田か八幡平どちらか記憶があやふやですが馬橇でスキーに行く話など、忘れられません。リフトなどないころですが、野沢、志賀、妙高、蔵王、湯沢、八甲田、八幡平等、スキーの話も淡々とした文章力も魅力的でしたね。
    晩年のヒマラヤの話も熱中して読みました。徴兵されて中国へ行った以外全く海外に出て行ったことなどないのに欧米登山隊の乏しい文献と地形図だけを頼りにヒマラヤの高峰がどんな形をしているのか麓からどんな風に見えるか想像図をビビッドに文章化していました。今でも覚えているのはカラコルムのラポカジという山で、彼の文章のお蔭で麓の人の住む村から仰角が大きく見える高峰は何処へ行っても畏怖される存在だが、仰角が世界一で最も高く聳え見えるのはラポカジだと信じさせられています。
    ところで、しげ子夫人は後妻ですよね。
    ダブル不倫というのでしょうかお互い婚姻関係にあったのに関係を持ち離婚して再婚したのだと思いますが、彼の山行に時々同行していることがほのめかされていてこれがちょっとロマンチックな謎で、若いころは結構刺激されたものです。
    是非、彼の本を読んでみてください。草創期の大らかなスキー事情が良くわかり面白いものです。

    • 安曇野の風 のコメント:

      今回の読書やその後に調べた情報から深田久弥はいろいろと世間を騒がせた人物のようですね。不倫問題やデビュー当初には盗作問題で文壇からオミットされていた時代もあって、いろんな実態を知りました。登山家のみならず、スキーも達者だったようで、文学者とは毛色の違う今風に言えば、スポーツライターの草分け的な存在だったようにも見受けられます。コメント、ありがとうございました。

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