東山彰良「罪の終わり」を読んで

先日の新聞に掲題の本が第11回中央公論文学賞を受賞した記事に出くわした。折しもその本の佳境部分を読んでいて、そのタイミングに驚いた。選考会での受賞理由には「すさまじいテーマを扱いながら詩情豊かで、翻訳調の文体も、嫌みにならずうまい。小説でなければ描ききれない物語」とあった。確かに凄まじい内容で、小説のカテゴリーはバイオレンス・アクションでもなければ、推理、冒険、サスペンス、ホラーでもなく、私設の読書録でジャンルを決めるのに迷った。時代設定が現在より150年ほど先で近未来の特異な技術が物語のベースにあって、SF小説ぽく思えた。まあカテゴリーはどうでもよいが、近未来が氷河期がごとく大飢饉となって、飢えを凌ぐための食人がはびこる世界に引きずり込まれ、凄まじい光景が夜な夜な悪夢として出てきそうな小説だった。

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