フランシス・ハーディング「嘘の木」を読んで

前回と同じ作家の作品を読んだ。前回の本は図書館の新刊コーナーにあったが、今回は新刊ではなくて出版日付も前回本よりも前だった。でも著作順では今回の方が新しく、要は翻訳本として国内出版したタイミングが時系列ではなかった。出版順が前後した理由はわからないが、両者の国内での反響は概ね前回読んだ本の方が好評のようだ。私としては今回の作の方が推理小説ぽく面白かった。いずれもジャンルはファンタジーの児童文学だ。でも内容は子供向けにしてはとても難解でハードルが高いと思う。同じタイプの小説を連続して読んだが、架空の世界が全面に出る共通性はあるものの、類似した話や舞台設定がなく、両者ともとてもユニークだ。この作家の凄いところは心情が実に細やかに描かれていて、叙情性が群を抜いていると思う。これだけ自在に心情を描き操り、いかようにもストーリー展開できる実力は相当なものであると思う。執筆の自在性とファンタジーの凄みを例えると、村上春樹を彷彿する思いがした。

安曇野の風 について

安曇野に巣くう極楽トンボ
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