村上春樹の最初の短編集である題記の本を昨日、購入して読んだ。初版は1983年5月で実に37年前の本で、7篇の短編が収録されている。安曇野に引っ越して以来の10年間ほどの読書で、現役作家の作品の中では一番古い本を読んだように思われる。読むきっかけとなったのは、先日読んだ小川洋子のエッセイ集の中で、「死の床に就いた時、枕元に置く7冊」の一つに掲げていて、「隅から隅まで全部が好き、と言い切れる短編集に一冊出会えれば人生は退屈しない」と書かれていたことにある。さて、この大絶賛された7篇の短編を読んだのだが、今一つピンとこなかった、と言うか少なくとも感涙にむせぶことはなかった。7話ともはるきワールドのような仮想現実を描いたものではなく、どこにでもありそうな話を回顧風に描いた作品がほとんどで、生活感が滲み出たようにも思えるし、死生観も垣間見えたようにも感じた。読みながらあれこれと考えさせられる作風で、日常的で簡潔な文章の中に読者をグイグイと惹きつける筆力はさすが、大作家たる想いを強めた。40〜50年経てば忘れ去られてしまう本がほとんどの中にあって、購入した文庫本は2018年11月増刷の改版28刷発行で、ここまでくると歴史的名著と呼ぶに相応しい作品なのかも知れない。
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