紅野謙介 他解説「文豪たちのスペイン風邪」を読んで

スペイン風邪にまつわる8人の文豪の作品と2人の解説を集めた本だ。スペイン風邪の大流行はおよそ100年前の3年間で、全世界では2〜4千万の人々が亡くなったと言う。およその数字なのは当時は第1次世界大戦の最中で、各国ともその数値を公にできなかったようだ。日本での感染状況は巻末の2人の解説にあるが、死亡者の統計数が45.2万人と38.8万とに分かれていて明確でない。怪しい統計ながら、第1波は2千万人以上が感染し、約1%の25万人が亡くなったと言う。当時の人口は現在のおよそ半数なので、第1波では半数近くの人が感染したことになる。第2、第3波は感染者数は減ったが、逆に死亡率は5倍ほどに増えたようだ。今の新型コロナは国内感染者数が100万人、死亡者が1万人を超えたが、感染規模や死亡者数はスペイン風邪の方が遥かに甚大で大パニックであったことが分かる。まさにパンデミックな危機的状況が当時の文豪たちの随筆の中に赤裸々に綴られている。そうした中、パンデミックに対する人々の行動は100年経った今も当時と類似していて、ウィルスに対する対応が進化していないことを感じた。歴史は繰り返す、ひょっとすると今の新型コロナは3年は流行し、死亡率が上がってますます深刻化するような不安を覚えた。ワクチンの有効性が持続し、何とか沈静化するのを祈るばかりだ。

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