木内昇「ある男」を読んで

何げなく借りた本、確か著者はよく聞く名前だが、今年5月に読んだ本の作家であったことをすっかり忘れていた。しかも昇は「のぼる」ではなく「のぼり」で女性作家であったことも忘れた。何とも自分の健忘症に怖い思いをした。本作は7篇からなる短編で、いずれも明治初期の農村が舞台となっている。名もなき男が明治の黎明期に懸命に生きる様が描かれ、いずれもヒーローではなく大成せずに1話づつが綴じられており、その時代にこうした人物がそこかしこにいたであろうことを思い起こさせた。題名通り、主人公の名前は伏せられ、終始「男は..」として描かれていて、面白く読めた。

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