今村省吾「塞王の楯」を読んで

今般の直木賞受賞作を読んだ。ページ総数552の長編で分厚く、読むのに10日ほどかかった。序に始まり9章のあとの最終章と実に長かった。それでも後半からは血湧き手に汗握るストーリー展開に読後の充足を十二分に味わえた。さすが直木賞受賞作、久しぶりの興奮を覚えた。戦国時代に城塞などの石垣を積む職人の話で、当初は登場人物を同じにして章ごとの短編を思わせる作風だったが、これは後半から始まるバトルの導入編と言った感じだ。城塞を作る側とこれを破壊する大砲などの銃器を作る側との戦いが小説の舞台だ。苛烈な戦国時代をこうした職人側の立場で物語ったユニークなのが特徴で、ストーリ構成も史実に合わせてよく練られており、歴代の直木賞の中でもかなり秀作であると感じた。

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