高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」を読んで

今般、芥川賞を受賞した題記の小説を読んだ。どこにでもあるような普通の会話形式を中心に描かれた職場のお話で、読みやすく分かり易かった。でもさすが受賞作、職場の人間関係や人物の性格や描写が秀逸だ。食べ物を全面に出してストーリー展開したところもユニークでうまい。主人公は一人称のパートで描かれる女性と、三人称として描かれる男性だが、これにもう一人の頼りない女性が絡んだお話。全然頑張らず要領よく休んでばかりの人、そのツケをいつも負わされる人、その両人にうまく付き合う男が織りなす人間ドラマだ。現代の平等な雇用社会の中で、不条理な裏面を炙り出したようで面白かった。

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