池澤夏樹「また会う日まで」を読んで

著者の作品を読むのは3冊目で、本作品は朝日新聞に1年半にわたり連載されたものを単行本化したものだ。著者の実際の大伯父を主人公に大正・昭和の時代を海軍軍人で天文学者、さらにはキリスト教徒として生き抜いた一代記をファミリーストーリー風に描いている。実名の人物が多数登場し、文中には実際の当人たちがしたためた手記も多く掲載されていて正にドキュメンタリーとして仕立てられている。主人公は海軍兵学校、海軍大学校、東京大学などで学び、最後は将官にまで登り詰めた軍人だが、戦さではない学究的な仕事に打ち込み家族思いで敬虔なクリスチャンであった様が描かれている。日清・日露を皮切りに戦争に明け暮れた時代ながら、大正・昭和の推移の中で今まで知らなかった多くの事象が心に響き、さすが迫力のある大作の感を強めた。

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