藤谷 治「あの日、マーラーが」を読んで

あの日とは、3.11東日本大震災があった日。当日の夜、コンサートが決行され、ダニエル・ハーディング指揮、新日本フィルハーモニーによるマーラー・交響曲第5番が演奏された。この事実を基に書かれたフィクションで、設定が面白そうなので読んでみた。何とも感想らしい感想が書けない本だった。歴史的な日に関連付けたストーリは話の中身が希薄で面白くなく、ただこじつけたようで退屈そのものだった。最後まで読んだが、途中からの関心事はこの本の作者が当日の観衆の一人だったのかどうかを思い巡らしながら読む程度のことだった。演奏会場は都内「すみだトリフォニーホール」で1800名収容のホールは当日、105名の観客だったそうだ。多分、この本の作者はいなかったと思う。本の刊行は2015年8月で、震災本としては時期を逸しているのも気になる。当日を思い起こし、関東地方でも至るところで停電し交通マヒでパニック状態の中、コンサートが決行されたことだけが印象に残る本だった。

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