和田竜「村上海賊の娘」を読んで

掲題の本は3年ほど前に発刊され、本屋大賞などを受賞して話題を呼んだこともあり、以前から気になっていたが、今にしてやっと読んだ。時代設定は織田信長の大阪本願寺攻めの時代だ。登場人物の多くが実在していて中身的には歴史小説に相当するのだろうが、物語は村上海賊は実在するが史実にはない娘が奮闘するエンタメ小説といった感じだった。最初は難しい人名が多く登場し歴史解説も難解な文献があちこちに挿入されていて取っつきにくかった。それでも、読み慣れると意外に面白さが滲み出てきて、上下巻およそ千ページを短時間で読み切れた。ストーリー展開は合戦の様子が延々と連なり、少しスピード感がなく回りくどい部分が目立った。セリフのやり取りは現代語で読みやすいのだが、関西弁の怒声が連呼されていて閉口した。伝統的な歴史小説とはかけ離れ、全体を通して劇画の世界を描いた娯楽小説だった。

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