エリザベス・ストラウト「何があってもおかしくない」を読んで

前回、日本を代表する文豪の一人で短編の名手、芥川龍之介のミステリを編集した本を読んだ勢いで、今回は西洋人の短編を読んでみようと思い立った。物色したところ「卓越した短篇集に与えられるストーリー賞を受賞した、ピュリッツァー賞作家ストラウトの最新作!」と言う触れ込みに惹かれて題記の本を読んだ。それは9編の短編から構成され、そのそれぞれが関連性を持つ連作短編集だった。片田舎で繰り広げられる貧しい暮らしのストーリーは、その語り手が各短編ごとに登場するごくありふれた人物で、ページの多くが対話形式となった物語だ。NYタイムズ評では「悲しみの中にある美しさ」とあったが、私にはその感銘はなく、世間話の戯言のごとくだった。文章もどう見ても瑞々しさやしんみりとした繊細さを感じずじまいで、期待していただけに拍子抜けした。ちなみに本のタイトルの原語は ANYTHING IS POSSIBLE と「なんでもありき」で、何となく纏まりのなさを感じた。

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