宇佐見りん「推し、燃ゆ」を読んで

第164回芥川賞ノミネート作品の一つを雑誌収録の中から読んだ。筆者は今回の候補作5作品の中では一番若い21歳で、前作品のデビュー作は三島由紀夫賞に輝いており新進気鋭さが際立つ。今回の作品名でまず知ったのが「推し(おし)」で、何やらアイドルオタクが20年以上前から使っていた派生語のようで、アイドルグループで1番人気の者をそう呼ぶようだ。女子高生が生活の全てを「推し」に没頭し、その相手がネット炎上してグループ解散し引退に至るも、とことん最後までオタクし自己破滅する展開が描かれている。SNS全盛の現代でいびつな若者の生き様が純文学風に掘り起こされていて、なかなか読み応えがあった。まだ、他の候補作を読んでいないが、歴代の芥川賞受賞作の選考評価の流れからして、今回受賞の第1候補のようにも思えた。

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