誉田哲也「背中の蜘蛛」を読んで

昨今の直木賞候補となった掲題の本を読んだ。今回初めて読む作家だが、著者は警察小説を得意としているようで、作中には警察組織の仕組みや捜査員の慣用語などが網羅されていて臨場感があった。情報管理社会や犯罪防止のための監視システムなど、ホットなテーマを近未来的な警察組織が事件対処するストーリー展開だ。3章に分かれた本文で、当初は短編のごとく独立して無関係なものに思えたが、最終章で関連性を畳みかけて筋書きを披露する作風だ。ただ、サスペンスやミステリーのような逼迫した醍醐味はなく最後の追い込みも間延びしていて、迫力感に欠ける思いをした。文中には露骨で下品な表現もあるが、全体的には筋の通ったストーリーで警察での科学捜査の今後のあり方に警鐘を鳴らす秀作だと感じた。

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